53.会津の風景(19)圓蔵寺裸まいり編
圓蔵寺

 柳津町は,圓蔵寺の門前町として栄えてきた歴史ある街です。
 圓蔵寺は大同2(807)年,法相宗の名僧徳一大師によって開山された古刹で,千葉県天津小湊町の能満虚空蔵菩薩,茨城県東海村の大満虚空蔵菩薩とともに,日本三大虚空蔵尊のひとつとされています。
 
 本尊の福満虚空蔵菩薩は,弘法大師の作によるものと伝えられています。
 「柳津の虚空蔵さま」として人々の篤い信仰を集めています。
 縁起によると,弘法大師が修行を終えて唐から帰る途中,ある高僧より霊木を授かり,それを海に流したところ三片に分かれ,現在,虚空蔵が祀られる三地に流れ着いたのだそうです。
 海から遠い柳津には,白蛇が運んできたとの伝承もあります。
 会津地方の伝統民芸品として有名な「赤べこ」は,圓蔵寺の建立に由来するといわれています。
 本堂の菊光堂は,只見川を臨む絶壁に建っています。
 木材の運搬に難儀していたところ,どこからともなく一頭の赤べこが現れ,木材を運んだというのです。
 牛は完成とともに姿を消し,これは御仏のご加護に違いないと「撫牛(なでうし)」にして境内に祀られ,丑(うし)歳の守り本尊となったそうです。
圓蔵寺裸まいり

 2006年に圓蔵寺の裸まいりを観てきました。
 これから観に行こうという方の参考になればと思い,その様子をお伝えします。
 毎年1月7日午後8時半の鐘楼の一番鐘を合図にスタートします。
 寒い季節ですので,防寒着はお忘れなく。
 本堂内は,限られたスペースですので,2時間前には場所を押さえておくといいでしょう。
 10時頃頃まで続きます。
 始まりは,ワッショイと威勢のよい掛け声から。
 下帯(したおび)ひとつの男たちがもみ合いながら,大鰐口(おおわにぐち)をめざして打ち綱をよじ登ります。
 先を競うものではなく,淡々と男たちが登っていきます。
 直下からの見物は,首が疲れるので,少し離れたところからがお勧めです。
奇祭・裸まいりの起こり

 その昔,疫病(伝染病)が流行して,村人たちが困り果てていた時,「前を流れる只見川の龍宮から宝珠の玉を奪い,菩薩様に献上せよ。」とのお告げがありました。
 弥生姫は苦労の末,玉を手に入れお供えすると,たちまちのうちに疫病は治まったそうです。
 ところが,龍神が玉を奪い返しにやって来ます。
 村人たちは渡してなるものかと一致団結し,下帯ひとつの裸になって,寺に集まり大声で騒ぎました。
 すると,龍神はその勢いに押され,あきらめて退散しました。
 このような伝説に基づき,寺院創建の頃から休むことなく続けられています。
 今では,福島十大祭りのひとつになっています。
 参加している男たちの中には,裸の体に「○○祈願」「○校合格」などと大書している人もいます。
 無事に,鰐口にたどり着く事ができると,一年間,病気をせず健康に過ごせるといわれています。

 地元の人でなくても参加することができます。
 参加してみたい方は,下記に問い合わせてみてください。
 他からの参加者は,町民センターや旅館で,下帯に着替えることができます。
 参加者には祭りの名入り手拭と牛王(ごおう)の矢が授けられる。
 寒さに強い方,腕力に自信にある方はどうぞ。
問い合わせ:
柳津町役場  0241-42-2111
柳津観光協会 0241-42-2346
町民センター 0241-42-2302

 宿泊は,柳津温泉「内田屋」「あづまや」が一番近いです。

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