28.昭和村見聞記(14)2004年版写真は昭和村の風景です。本文とは関係ありません。聞き書きが多いので,事実と異なることがあるかもしれません。
131.クマ

 今年は,日本各地でクマの被害があったようだ。
 昭和村でも,クマの出没はよく話題になる。
 喰丸峠はクマの通り道らしく,よく目撃されているようだ。
 三島屋食堂の主人によれば,喰丸堰堤の上は,プールになっていて,大イワナが泳いでいるという。
 「釣りたいけど,クマが出るからなあ。」と残念がっていた。

 
132.目印

 中島屋旅館の庭には,コシアブラ,ウド,ボンナが植えてある。
 育ち具合を見ながら,その年の山菜採りの時期を判断するのだという。
 つまり,目印として栽培しているそうだ。
 年によって気候も違うわけだから,案外科学的な方法だと感心した。

133.幼稚園児

 小野川地区の幼稚園児は,たった一人しかいないそうだ。
 一人のために,村のスクールバスが喰丸峠を越えて送り迎えをしているという。
 少子化は,全国的なことだけど,ここ昭和村でも少子高齢化は大きな問題のようだ。
 高校生になれば,だいたい会津若松に下宿する子が多いというし,卒業しても就職先がないのでは,そのまま村には戻らないだろうから,若い人はいなくなる一方だ。

134.硫黄臭

 かつて昭和村では,風向きによって硫黄臭がしたという。
 いろいろ調べたところ,西山温泉の地熱発電所が原因だったようだ。
 地熱が風に乗って峠を越えてきたのだという。
 ずいぶん遠くからやってくるものだ。
 もちろん,現在は改善されたそうだ。

135.蓑

 昭和村では今でも雨の日に,蓑を着ている人を見かける。
 蓑は藁で作るのですかと聞いてみると,藁では水分をすったら重くて不自由だという。
 ヒロロという草で作るそうだ。
 軽くて通気性もいいので,案外ビニールのカッパより着心地がいいのかもしれない。

 
136.合併問題

 昭和村も周辺の町村と合併の動きがあった。
 坂下町,柳津町,三島町,金山町との合併が取りざたされていたが,坂下町と柳津町の主導権争いに巻き込まれ,結局合併の話は白紙に戻ったようだ。
 政治のことはわからないが,個人的には,昭和村がなくならなくてよかった。
 
 
137.郵便局

 中島屋旅館の近くを散歩していると,郵便局があった。
 こんなところに郵便局があったっけと,宿のおじちゃんに聞いてみると,前の郵便局は火事で焼けてしまったという。
 今年は,増水で流された人を捜しているときに,山火事があったり,消防団の人たちが大忙しの事件がたくさんあったそうだ。

138.昭和村営スキー場

 釣りシーズン以外,昭和村には来たことがない。
 一度雪の季節に来たいと思い,今度スキーでもやりに来ようかなあと言うと,スキー場は潰れたという。
 大きなリゾートスキー場も倒産する世の中だから,リフト1本の村営スキー場ではやっていけないのも無理はない。
 近所の人しか滑っていないと聞いていたので,期待していたのだけれど残念だ。
 
139.狐にまわされた話

 ある人が権現山で山菜採りをしていたときの話である。
 山の中で裸の女が立っていた。
 「こっちにおいで,いいお湯よ。」と呼ぶのでついていくと道がわからなくなってしまったそうだ。
 さんざん迷ったあげく,山をおりると大芦集落だったという。
 一人で山を歩いていると,狐にまわされるという昔話を宿のおじちゃんに聞きました。

140.キノコ採り

 これは今年の話です。
 昨年,二人組でキノコ採りに来たうちの一人が,崖から落ちて死んだそうだ。
 残ったもう一人の人は,今年,その命日にキノコ採りに出かけたら,そのまま行方不明になってしまったそうだ。
 何とも奇妙な話である。


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