No.361 アカハラ唐揚げ

 ウグイを昭和村ではアカハラといいます。昔から,山里のタンパク源として食されていたそうです。川魚では,イワナやヤマメは食べる習慣がなく,そのためか,かつての昭和村は大イワナの桃源郷だったらしいです。イワナは美味しいと思うにですが,雑食性の悪食な魚として敬遠されていたようです。水の綺麗な昭和村のアカハラは,臭みもなく美味しいです。釣りの外道として,宿に持って行くと調理してくれます。
No.362 エラのお浸し

 山菜に詳しくなかった頃,中島屋で初めてエラをいただきました。エラは,この地方の方言で,ミヤマイラクサのことです。アイコと呼ぶ地方もあります。あるところにはまとまってあります。深山の沢筋など,湿った所の岩場・斜面の湿地帯に出ます。あまりのも美味しいので,釣りの合間によく探します。採集は気をつけないと,茎に刺毛があり,素手でさわるとかなりチクチクと痛痒くなります。軍手ではなく,ゴム手袋が必要です。とてもお気に入りの山菜です。
No.363 ウルイのマヨネーズがけ

 オオバギボウシの若葉はウルイといいます。渓流沿いの湿りけのあるところに自生しています。沢を釣り登っていくと,山菜採りの人がウルイの葉を切り落とした跡に出くわすことがあります。通常,主脈の部分だけを食用とするため,大きな葉の部分は邪魔になるので現場で切り落とすようです。サクッとした歯応えでクセがなく,みずみずしい山菜です。 葉の丸まった若芽は,毒草のコバイケイソウによく似ているので注意する必要があります。
No.364 ミズとろ

 ウワバミソウのムカゴと茎を叩いてとろろ状にしたものです。ウワバミソウは,葉,茎,ムカゴと様々な調理法でいただけるので便利な山菜ですが,味に癖がなく別名ミズナというとおり,ミズっぽいのが欠点です。ぬめりがあるので,ぬめりを生かした料理が一番適しているようです。沢沿いならどこでも大量に群生しているので,収穫には事欠きません。収穫時期も長いので,重宝な山菜です。ただ,ムカゴを大量に集めるのは,根気のいる作業です。
No.365 酒井の豆腐・冷や奴

 昭和村の豆腐屋さん,酒井の豆腐です。なめらかさは全くなく,岩のようなごつごつしたとても堅い豆腐です。豆の味がとても濃くて,素朴な美味しさを味わえます。こんな田舎豆腐は,冷や奴が一番です。隣の金山町には,有名な玉梨豆腐茶屋もありますが,私は安くて無骨な酒井の豆腐の方が好きです。「昭和村 酒井の豆腐」で検索すれば,たくさんのファンがいることが分かります。玄関先に「豆腐あっぞー」の看板が出ていたら是非買ってみてください。
No.366 ミズのお浸し

 何度も登場するウワバミソウのお浸しです。別名ミズというように,とても瑞々しい山菜です。癖がなく収穫も容易で,とても便利な山菜ですが,癖がない分,物足りなく感じます。個人的には,エラ(ミヤマイラクサ・アイコ)のお浸しの方が好きです。鮮やかな緑は,食膳の彩りといったところで,大量に食するより少しお膳に並ぶところに良さがあるのかも知れません。いずれにしても中島屋の山菜は,全て地元産です。輸入物や栽培物を出す高級旅館とは違います。
No.367 豆腐とマイタケ

 天然マイタケを出してくれる旅館は珍しいのではないでしょうか。栽培マイタケとは比べものにならないほど高貴な香りが魅力です。昭和村はマイタケが結構採れるらしく季節になると仮設の売店にマイタケが並びます。値段は栽培マイタケの数十倍しますが,それだけの価値があると思います。本当は,自分で採れればいいのだけれど,素人には難しいみたいです。残念ながら観光客の少ない昭和村では,売れ残ってしまうこともあるらしく,中島屋ではそれを安く仕入れて冷凍し,年間を通して提供しているそうです。

No.368 自家製納豆

 中島屋のおばちゃんが造った納豆です。生まれも育ちも茨城の私ですから,納豆には結構うるさいです。昔の藁苞納豆です。懐かしい味です。スーパーで売っている今の納豆は,小粒で柔らかくそれなりに美味しいですが,昔の納豆とは別物のように感じます。そんな昔懐かしい味を思い出させてくれる郷愁漂う納豆です。素朴で味が濃くて,納豆らしい納豆です。水戸納豆もいいけれど,雪国の納豆も味わい深い感動的な逸品です。

No.369 アサツキのお浸し

 アサツキは,ネギの仲間ですが,ネギと違って小さな球根があります。ヒルとも言います。山菜というよりは,その辺の道ばたにごく普通に見られます。里川で釣りをしていると,畑のあぜ道で見かけることがありますが,栽培しているものなのか野生のものなのかは不明です。一見,栽培しているように見えないので収穫するときは注意が必要です。畑の野菜を採ってしまっては犯罪になってしまいます。鰹節と醤油でいただく爽やかな一品です。
No.370 タマビル

 アサツキに対してノビルのことをタマビルと言います。アサツキより,球根が大きなため玉が付いたアサツキ(ヒル)ということからそう呼ばれるようです。独特の辛みが癖になるとても美味しい野草です。アサツキと同じく,畦道や堤防上など,丈の低い草が生えているところによく自生しています。主として人里近く,畑地周辺や土手でよく見かけるので収穫は容易です。沢釣りよりも里川の釣りで収穫できます。これもさっと湯がいて鰹節と醤油が一番です。

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101.昭和村見聞記(38)中島屋旅館山の幸編3