031 非行少年

 中学生の非行と言えば,万引きや無免許運転などがあげられると思うが,昭和村に非行はないのではないかと思う。
 万引きするにも店がないし,もし見つかったら村中の噂になってしまう。
 暴走族になろうにも,メンバーが揃わない。
 釣り人に元気よく挨拶する中学生,自転車がきちんと並んでいて荷台にヘルメットが整然とおかれているのを見ても,この村に,非行がないことは想像できる。
032 国道400号線

 釣りに行くとき,田島から,国道400号線を通って峠を越える。
 たいていは,深夜から明け方にかけてである。
 対向車は,まず来ない。
 夜の運転は,ヘッドライトで対向車がわかるけれど,昼の運転は注意が必要である。
 国道とは思えないほど狭いところが多く,カーブが連続している。
 
033 冬季通行止め

 国道400号線の田島方面,国道401号線の会津若松方面,南郷方面は,冬季通行止めとなる。
 冬の交通は,トンネルを抜けての下郷方面と,川口回りの会津坂下方面に限られる。
 昭和村の人たちは,買い物に行くときは,会津若松や坂下に行くという。
 会津若松までは,車で1時間強,50キロの道のりである。
 それも,雪が融けてからの話である。
034 釣り場案内

 昭和村に通い始めた頃は,釣り場がわからず宿のおじちゃんに場所を教えてもらっていた。
 おじちゃんの案内は,どこそこから100メートルぐらいだと言うので行ってみると1キロぐらいあったりする。
 5分ぐらいだというので行ってみると,1時間ぐらいかかったり,全く頼りにならない案内だった。
 行ったり来たり,道に迷うばかりで釣りにならなかったことが何度あったことか。
035 マイカー

 釣りの帰り,田島町の食堂で食事をしたときのこと。
 駐車場が狭かったので嫌な予感がした。
 予感は的中し,食堂を出ると車の横腹がへこんでいた。
 それ以来,我が愛車への愛着も薄れ,狭い林道もどんどん入り込むようになった。
 ある日,腹を強打し,マフラーに穴をあけた。
 壊れたマフラーで爆音を轟かせながら帰ってきた。
 すぐに廃車になり,今は車高の高いフォレスターに乗っている。
 
036 コンビニエンスストア

 昭和村は,商店が少ない。
 少ない分,品数は豊富である。
 食料品から衣料品,生活用品,薬まで売っている。
 かんじきが売られているのには驚いた。
 コンビニエンスストアはないけれど,田舎のコンビニ状態になっている。
 意外に繁盛しているようだ。
 
037 ヨシ

 野尻川は,夏になるとヨシが密生する。
 釣りをやるには厄介者だが,魚にとっては絶好の隠れ家になるらしく,苦労すれば大物が釣れたりする。
 それも,ヨシが,茂っているときだけで,夏の終わりに刈り取られてしまうとパタリと釣れなくなってしまう。
 歩きやすくなっていいのだが,釣果はさっぱりということになる。
038 腹抜き

 魚を美味しくいただくには,早めの処理が必要になる。
 ナイフでお尻の穴から頭に向けて腹を割き,内臓を取る。
 そのとき,血合いを親指で十分にそぎ取る。
 また,エラは臭みが出る原因になるので,プライヤーできれいに取る。
 面倒な作業だが,きれいに処理できると,見た目にもいかにも旨そうだ。
039 イワナの骨酒

 中島屋のイワナの骨酒は美味い。
 まろやかで,喉にすーっと入っていく。
 夕食に骨酒を出してもらうには,午前中にイワナを釣ってこなければならない。
 中島屋の骨酒は,イワナのエキスがよく出るように何時間もお酒に漬けておくので時間がかかるからだ。
 銘柄は「榮川」がよく合う。
 
040 山栗

 夏の終わりになると,至る所で山栗が実り始める。
 イワナに悟られないように,静かに竿を出しているとき,栗が落ちてきてその音にびっくりすることがある。
 釣りに飽きたら,栗拾いも楽しいものだ。

 
06.昭和村見聞記(4)