021 熊出没注意

 滝谷川の源流で熊に出会ったことがある。
 必死になって車まで戻ると,林道の入り口に真新しい「熊出没注意」の看板があった。
 聞くところによると,最近熊の目撃情報が多いので看板を設置したそうだ。
 それまで看板は信用していなかったけれど「熊出没注意」の看板があったら気を付けなければならない。
 
022 豆腐

 野尻に「酒井とうふ」という豆腐屋がある。
 ここの豆腐は,大豆の味が濃く,固くておいしい。
 1丁90円で安いし,おからをサービスしてくれる。
 パック詰めの豆腐とはひと味もふた味も違う田舎豆腐である。
 花の栽培も手がけているらしく,出荷時期になると忙しくて豆腐を作れないことがあるらしい。
 数もたくさん作らないらしく,買えなかったりするとがっかりする。
023 氷

 4月の釣りは,氷を買う必要がない。
 雪の中に30分もビールを埋めておけば,ギンギンに冷えた最高のビールが飲める。
 クーラーボックスの中に雪を詰めておけば魚も傷まない。
 魚の腹を取って沢の水で洗うのは,手が凍り付きそうで難儀するが,新鮮な魚が食べられる4月である。
 
024 河川改修

 毎年楽しみにしているポイントが,次の年に行ってみると無くなっていることがある。
 河川改修工事だ。
 高い護岸になってしまい降りられなくなっていたり,ひどいところは川底をブルドーザーで平らにしてしまうなんてところもあった。
 洪水を防ぐためとはいえ,釣り人にとってはいいことではない。
 コンクリート堰堤のお世話になっているからあまり文句も言えないけれど。
025 メーター級のヤマメ

 野尻川沿いに,セメント工場がある。
 しらかば荘の親父さんに「どこか釣れるところはないか。」と聞くと,セメント工場の辺りがいいという。
 今までそこでは満足な釣果がなかったので,そのことを言うと,「メーター級のヤマメがいるから,他の魚は怖がって寄りつかないんだ。数はいないけど大きいのがいるよ。」と言っていた。
 
 
026 ニゴイ

 セメント工場の人が,50センチクラスの魚がいつも泳いでいると言っていた。
 同行のH氏は,さっそく川へ降りていった。
 私が,「その魚はイワナですか,ヤマメですか。」と聞くと, 「魚の名前はわからないが,コイみたいな魚だ。」と答えた。
 なんだか嫌な予感がした。
 予感通り,H氏は,50センチのニゴイを釣り上げた。
027 娯楽

 昭和村には娯楽がない。
 パチンコ屋,カラオケボックス,ゲームセンター,居酒屋,全部ない。
 スナックが1軒あるけれど,経営が成り立っているのだろうか。
 文化のバロメーターである本屋やCDショップも当然ない。
 レンタルビデオ屋なんて,間違ってもない。
 あるのは,自然だけである。
028 ハヤ定食

 中島屋では,釣った魚を唐揚げにして夕食に出してくれる。
 イワナは鶏肉のように淡泊で,ヤマメはやや川魚の香りがする。
 ウグイもおいしい。
 関東では,夏のウグイはおいしくないが,昭和村のウグイはおいしい。
 この辺では,イワナよりウグイの方が御馳走だという。
 元々イワナを食べる習慣はなかったそうだ。
 食堂には,ハヤ定食というメニューがある。
029 イワナの唐揚げ

 イワナやヤマメの唐揚げは,低温で1度揚げた後,いったん油を切り,2度揚げするとパリッと揚がっておいしい。
 ころもは付けなくてよく,魚のぬめりでパリッと揚がる。
 中島屋で食べる唐揚げはおいしい。
030 フキノトウ

 4月には,釣りに飽きたらフキノトウ採りという手がある。
 雪の間から顔を出しているフキノトウは,道ばたでも渓流沿いでも,いくらでも採ることができる。
 天ぷらにすると,香り高くておいしい。
 刻んで味噌汁の具もいい。
 
05.昭和村見聞記(3)