小栗山温泉「民宿 文伍」(2010年12月4日宿泊)

概要

 民宿が点在する金山町にあって唯一の温泉民宿です。
 大工さんのご主人が,私財を投じて掘り当てた温泉です。
 ご主人は山菜採りやキノコ採りの名人で,毎日忙しいらしく,民宿経営には熱心ではありません。
 そのため,予約しようと思っても断られることが多いようです。
 温泉と料理が最高で,料金も超格安ですから,人気のある宿ですが,なかなか泊まれないのが残念です。

部屋

 玄関を入ると,広い立派な階段があります。階段を上がった両サイドに部屋があります。8畳の二間続きで,かなりゆったりしています。
 トイレは外トイレですが,部屋を出てすぐのところに男女別洋式トイレがあり,不便は感じません。
 エアコンはありませんが盛夏でなければ必要ないと思われます。
 冬でしたので,コタツとファンヒーターが嬉しかったです。
 客室は全部で和室8室,定員15名だそうです。

内湯

 玄関を入って左の廊下階段を降りていった所に独立した湯小屋風の浴室があります。男女別の内湯は,3人ほどが入れるコンクリートの素朴な浴槽です。
 お湯は,微かに濁り,ダシの効いた薄い塩味と,微金気を感じる源泉掛け流しの良泉です。泉質は,ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉。源泉温度は,50.0℃と熱めです。

pH=6.6 127L/min(掘削自噴) 溶存物質計=3283mg
Na=846.6mg(81.84mv%) K=1.3 Mg=48.6 Ca=75.5 Mn=0.3 Fe2=8.4 NH4=0.1 Li=0.4 F=1.7 Cl=568.0(35.69) Br=0.6 SO4=503.7(23.33) HCO3=1118(40.76) H2SiO3=105.6 HBO2=4.7 CO2=348.0


露天風呂

 大工さんである主人手造の露天風呂は,混浴です。10人は余裕で入れる立派なもので,岩風呂となっていてなかなかの風情です。
 広さが広いだけに掃除が大変らしく,その辺の事情も民宿を廃業したい理由のようです。

夕食

 鮎の塩焼き,馬刺し,ゼンマイ,カボチャ,ふき,枝豆,きのこ,刺身こんにゃく,コウタケ佃煮,鍋物の全10品。山の食材が充実しています。山菜,キノコ,自家製野菜を美味しくいただきました。
 食事は,1階の居間でいただきますが,ご主人の楽しい話を聞きながら,ついついお酒もすすみます。

 鮎の塩焼きは,ご主人自ら宿の裏手の野尻川にヤナバを作り捕ってきた落ち鮎です。
 まるまると太った腹は,卵でぱんぱんでした。身や内臓はほとんどなく,体全体が卵のようです。
 次の日の朝,野尻川のほとりに行ってみると,ヤナバの跡がありました。大量の材木をよくも谷底まで運んだものです。一キロ先の山奥から,わき水を引いてきたり,ここのご主人は山の暮らしの達人です。

 鍋物には,マイタケと豚肉が入っていました。別注文で,熊鍋もやるそうなので,次回は是非いただきたいものです。
 かつては,スキーヤーが押し寄せたそうですが,スキー人気の低下とともに,釣り人や山菜採り,キノコ採り,猟師などの宿泊が多いそうです。
 テレビや雑誌に取り上げられることも多いらしく,食事中に写真や切り抜きをたくさん見せていただきました。
 自慢の宿だけど,忙しくなるから客を取りたくないというご主人のジレンマがよくわかります。

 夕食の極めつけは,松茸ご飯です。松茸狩り名人のご主人が収穫したものだそうです。昭和村両原のキノコ屋さんとも親しいそうです。とにかく山の恵みを最大限に利用しているご主人です。
 今年は豊作だったとのこと,最高のごちそうでした。
 瓶ビールは大瓶600円(スーパードライ)
 熱燗700円(2合)

朝食

 朝食は,定番の納豆,生卵,漬け物に加え,煮魚,ふき,野菜炒め,焼き海苔,梅干しなどです。朝から,ご飯3杯はいけます。民宿としては,十分すぎるメニューではないでしょうか。
 そして,コウタケの味噌漬けとナメコ汁が,特にこの宿らしいアクセントになっています。


源泉

 宿の近くの田んぼの中に源泉がありました。動力不要の自噴泉だそうです。

データ
住所:福島県大沼郡金山町大字小栗山字堂平2154−1
交通:只見線会津川口駅からバス5分
車:川口から約3キロ。国道400号沿い。
電話:0241−54−2934(不在の時が多いです。)
料金:1泊2食付7150円(入湯税込み)驚きの安さです。

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