金曜日の夜。
昭和村に向けて,ひとり車を走らせる。
舟鼻峠はまだ通行止めだ。
会津坂下経由で行かなければならないので,かなりの遠回りだ。
深夜の高速道路は,睡魔との戦いだ。
途中,仮眠をとったので,釣り場に着いたのは5時だった。30分遅かった感じだ。
激しく雨が降っている。
本流は,雪代と雨のせいで濁流になっている。
竿を出せそうにないので,雪の中を歩いて沢で釣る。
イワナ8尾を上げるが,型は今一つ。
やはり本流でないと大物は釣れないようだ。
全身ずぶ濡れになってしまい,寒さで身体の震えがとれない。
宿に行って寝ることにする。
宿のおじちゃんが,寒かったろうと言って布団をもう1枚よけいに持ってきてくれた。
夕方になると,他の常連客もあがってきたようで,階下が賑やかになり目が覚めた。
ベテランの常連客でも,今日は釣りにならなかったらしい。
8尾釣った自分は,よく釣れたもんだとほめられた。
夕食は,おばちゃんが入院中なので,おじちゃんが作ってくれた。
山菜と漬け物と梅干し,岩魚の骨酒,これだけあれば十分だ。
まともなものが出せないからと,夕食代は取らなかったが,十分美味しくいただいた。
2日目。またも雨。
どうしても大物が釣りたくて,本流へ行く。
堰堤下の僅かなたるみを見つけてトライするが,出てくるのは尺以下のイワナばかりだ。
場所を変えようと移動中,何気なく護岸の上から濁流に竿を出すと,あっさり根掛かり。
と思ったら,40オーバーのイワナだ。
しかし,5メートル以上ある護岸の上からではどうすることもできない。
もう,抜くしかないと覚悟を決めると空中でイワナはポッチャン。
水中で逃がしたイワナは釣りなおすことはできるけれど,空中で逃がしたイワナは2度と釣れないものだ。
わかってはいるけれど,悔しくて,諦めきれない。
護岸の降り口を見つけ,下から2時間ほど粘った。
濁流の中の釣りは,イライラするばかりで,全くだめだった。
ゴールデンウイークは釣り人が多くて,釣りにならないのは知っているけれど,大物を求めて行かなくては。
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