今シーズン初めての渓流釣りに出かけました。
 いつもの年なら,ワクワクする初釣りですが,今年は勝手が違います。
 原発事故の影響で,野尻川漁協管内は未だ禁漁のまま。
 気分は沈んでいます。
 野尻川のイワナから,100ベクレルを超えるセシウムが検出されたそうです。
 昨年度は,基準値が500ベクレルでしたが,100ベクレルに厳しくなったための禁漁です。
 昨年はよくて,今年はダメというのも,なんだか釈然としません。

 野尻川では釣りができないので,喰丸トンネルを越えて滝谷川に行きました。
 こちらは,只見川漁協の管轄で解禁しています。
 滝谷川の方が標高が高いため,野尻川より積雪が多いです。
 地元茨城では,桜も散り始めているというのに,まだまだ春は,遠く感じます。
 冷たい雨が降っていて,快適な釣りというわけにはいきません。
 雪代と雨のせいで,なかなかポイントも絞れません。積雪も,川に近づくのを拒んでいます。

 全くアタリがなくても,川の流れを見つめながら,竿を振るのは気持ちのよいものです。
 釣れても釣り,釣れなくても釣りとは,よく言ったもので,竿を出すだけで充実感で一杯です。
 最初に入った場所はアタリがありませんでしたが,2カ所目の場所でアタリがありました。
 半年ぶりの感触に,心が躍ります。
 24センチのイワナでした。
 小さくても,最初の一尾は嬉しいものです。
 もう一尾追加して,骨酒用にキープしました。


 さらに大物を求め,滝谷川の上流へ行ってみました。
 林道は除雪していましたが,1メートルを超える雪の壁にたじろいで,行く気にはなれませんでした。
 この辺りは,以前,熊が出たところで,ひとりで入るのは危険です。
 滝谷川を諦め,同じく只見川漁協管轄の川を求めて移動しました。
 野尻川の禁漁は残念ですが,気持ちを切り替え,新しい釣り場探しと思えば楽しいものです。

 とは言うものの,新しい場所を探し当てることはできず,雨も強くなってきたので,初釣りは2時間ほどで終わりにしました。
 あとは温泉です。
 相当体も冷えたので,久しぶりに熱湯で有名な湯倉温泉共同浴場に行ってみました。
 もう釣りは十分です。只見川の流れを見ながら,至福の時間が過ぎていきます。
 体も心も温まりました。

 朝食兼昼食は,やまか食堂のラーメンです。去年の9月,最後の釣行では休業でいただけなかったので,8ヶ月ぶりのラーメンです。
 ところが,なんと今回も休業でした。運がありません。
 仕方がないので,しらかば荘にラーメンを食べに行きました。
 麺は喜多方ラーメンで美味しいのですが,スープが美味しくありません。具も,チャーシュー,なると,ネギのみで,メンマはありません。
 食べられないまずさではなく,興味をそそるまずさです。素朴な味に病みつきになりそうです。ぜひ,皆さんにもお勧めします。(450円)

 いつもの釣り宿,中島屋旅館は,おじちゃん,おばちゃんも元気で,何も変わっていない佇まいです。
 コンビニで調達したつまみでビールを飲み,午後は昼寝です。
 このところの定番ビール「よなよなエール」です。ちょっと昭和村には合わないかな。まだ昼間だし。
 昭和村には,キリンのラガーが合いますが,本日持参のビールはすべて「よなよなエール」です。
 蒲団を三枚かけて,眠りにつきました。

 「そろそろ宴会を始めましょう。」
 宿のおじちゃんに起こされました。まだ,夕方の4時半です。
 半分頭は眠っていますが,イワナの骨酒で完全に目が覚めました。
 おいしい山の幸と骨酒,このためにここへ来たと言っても過言ではありません。
 滝谷川のイワナだって,セシウムは多少なりとも入っているはずです。
 科学的なことは分かりませんが,私にとっては飲食を我慢する方が体に悪いような気がしてなりません。

 イワナの骨酒と,キリンのラガービール。こちらも外せません。
 今回は,今シーズン2回目という千葉から来た常連のTさんとの夕食です。
 Tさんは,滝谷川で釣れなくて,骨酒飲みたさに100キロ以上車を走らせ,南郷でイワナを釣ってきたそうです。
 執念の骨酒です。
 そうまでして,南郷には泊まらず中島屋に来るあたりは,この釣り宿の魅力に他なりません。
 宴会の釣り談義は,9時過ぎまで続き,楽しいひとときを過ごしました。

 2日目も滝谷川に行きました。
 さらに水量も増し,アタリもありませんでした。
 釣りは諦め,恨めしい禁漁の野尻川を下見しました。
 いつになるかはわかりませんが,解禁に向けての予習です。
 金曜日が暑い日で雪代が出て,土曜日が雨という悪条件のため,野尻川は護岸一杯に濁流になっています。
 これでは,禁漁でなくても竿を出すところはありません。
 雪代が収まった頃,解禁になればありがたいのですが,こればかりは何ともすることができません。

 

 漁協の方の話では,毎週イワナをモニタリング検査に出しているけど,上流部のイワナのセシウムが高いそうです。下流部のイワナは問題ないそうです。
 3回連続100ベクレルを切らないと解禁にならないそうで,いつ解禁になるかは分からないとの話でした。
 どちらにしても,この濁流では,サンプルにするイワナを釣りようがないので困っているとのことでした。
 その話を聞いて,検査用のイワナを釣らせてくれればなあと思いました。

 シメは,八町温泉の共同浴場「亀の湯」です。
 外気温のせいかぬるめに感じます。長い時間のんびり湯につかりました。
 野尻川の濁流とは正反対に静かに時間が流れていきます。
 釣りがなくても,この温泉にゆっくりつかると,とても幸せな気持ちになるものです。

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124.禁漁の野尻川(2012年4月14日〜15日)