117.変わらぬ昭和村があった(2011年4月23日〜24日)


 ずっと仕事が忙しかった。
 東日本大震災から1ヶ月以上たつというのに,余震もまだまだ続いています。
 多くの人々が,災害に苦しんでいるときに,釣りをしていていいのか,という思いもありますが,やっと巡ってきた休日です。
 今度はいつ休みが取れるとも知れないので,気分は乗らないけれど,昭和村に出かけることにしました。
 

 金曜日の夕方,いつもより早く仕事を切り上げて,餌を買いに釣具屋に行きました。
 本当は,ドバミミズがいいのだけれど,この時期は捕れません。ブドウ虫を買いに行きました。
 これが結構大変でした。売っていません。釣具屋を3軒まわりやっと買うことができました。
 仕事を早く切り上げたのに,結局帰りは夜になってしまい,出発前から疲れてしまいました。
 いつもなら,仮眠をしてから夜中に出かけるのだけれど,興奮しているのか,目は冴えています。
 仮眠を取らず,早めに出発することにしました。

 途中,地震の影響で通行止めが2カ所ありました。
 早めの出発なので,問題なく一般道をゆっくり走ります。
 早朝,昭和村に着きました。
 思いのほか例年より積雪が多いです。
 気温は高めで,野尻川は雪解け水で増水しています。
 速い流れと積雪が邪魔をして,ポイントに竿を入れることができません。
 早々に本流を諦め,沢に入りました。
 沢は,さらに積雪が多く,歩きにくいです。
 おもりを6Bに替えて,ちょうちんで釣り上がりました。
 

 1尾目は,22センチほどの小さなイワナでした。
 小さくとも,記念すべき今シーズン初のイワナです。
 骨酒用にキープしました。
 その後も,ぽつぽつ上がるけど,リリースサイズばかりです。
 イワナより,ヤマメの方が活性が高いようです。
 唐揚げ用に2尾ほどキープしました。
 苦労して買ってきたブドウ虫をどこかで落としてしまいました。
 これも天の声と諦めて,釣りを終わりにしました。

 たくさん釣れなくても,大物が釣れなくても,久しぶりに昭和村の山や川を歩くだけで気分がいいです。
 あちこち川の様子を見て歩きました。
 そして,いつもの昭和温泉につかり,疲れを癒します。
 中島屋旅館で湯上がりのビール。
 午前中に飲むビールは格別です。
 11時になり,宿の向かいの「やまか食堂」で,タンメン(550円)をいただきました。とても懐かしい味です。
 店の中は,もうすぐ5月というのに,炬燵と石油ストーブが稼働中です。
 

 昼食後は,ビールを飲んで昼寝。
 例年変わらぬパターンです。
 ふとんをたくさん掛けてぐっすり眠りました。
 夕食は,なんと4時から。宿のおじちゃんに起こされました。いくら何でも早すぎます。完全な睡眠不足です。
 目覚めの一杯は,今年最初のイワナの骨酒。
 コップの中は,飴色の熱燗。旨いです。
 半年間待っていた味です。

 それにしても,宿のおじちゃんもおばちゃんも元気で何よりです。
 泊まり客は一人だけだったので,山の幸を肴に延々5時間も宴会が続きました。
 常連さんたちの消息や,川の様子,村の様子,地震の話,冬の停電の話など,話題は尽きません。
 キリンラガービール2本,骨酒3杯,楽しいひとときを過ごせました。

 夜は雨が降りました。
 気温は高かったので,雨で一気に雪が融けました。
 野尻川は濁流です。
 まるで,台風の後のようです。
 とても釣りにはなりません。
 玉梨温泉へ朝風呂を入りに行きました。
 炭酸と鉄の香りが心地よい共同浴場のお湯につかると,とても幸せな気分になります。釣りができなくても,幸せです。
 

 玉梨温泉の辺りは,昭和村より雪が深いようです。
 玉梨は,昭和村より下流にあり,標高が低いので雪は少ないと思っていたのですが,認識不足でした。
 日本海に近い金山町の方が,雪は深いようです。まだまだ,除雪されていないところもありました。
 桜のつぼみもまだ小さいです。
 例年,ゴールデンウイーク頃に咲くのですが,今年は少し遅れそうとのことでした。

 日当たりがよい斜面には,ふきのとうや福寿草が咲いています。
 いつものことながら,釣りはあまりやりませんでしたが,いつもと変わらぬ昭和村で,心の洗濯ができました。
 帰りは,塩原から,阿見まで高速道路で一気に車を走らせました。
 高速料金1000円も,もしかしたら最後かも知れません。ちょっと残念です。

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