不動湯温泉「白雲荘」(2010年1月4日 宿泊)
概要

 土湯の温泉街から,林道に入った一軒宿が不動湯温泉です。冬に訪れたため,雪道が険しかったです。普通の乗用車ではたぶん無理です。カーナビもあてにならない山道です。周囲には何もない秘境の一軒宿です。
 大正10年の創業以来,大切にされてきた旧館は,文化財級の建物です。

 建物は,創業以来の旧館(6部屋)と,建て増しした本館(7部屋)から,成ります。
 古き良き温泉宿を味わいたいなら,旧館がお勧めです。部屋の仕切りが襖では不安という方には,本館がお勧めです。
 先々代の主人の夢枕に不動明王が現れてこう告げた。「ここを掘りなさい。」言葉を信じて掘ってみると,泉質の異なる3種類のお湯が次々出たそうだ。
部屋

 旧館の角部屋,1号室に宿泊しました。
 隣の部屋とは,襖で仕切られています。入り口も障子戸です。窓枠も手すりも木造で,よい雰囲気です。
 部屋には,ファンヒーターと炬燵,小さなテレビ,鏡台があります。床の間もある純和風の造りです。
 8畳間の畳はぎしぎしいっています。一人では広すぎる部屋です。
 掛け布団がとても重くて,昔懐かしい夜でした。

常盤の湯

 3種類の源泉は,廊下と階段によって結ばれています。一番手前にあるのが,ちょっとだけ階段を降りたところにある常盤の湯(混浴)です。
 浴室のあちこちがお湯の成分で赤茶けています。浴槽には,鉄粉のような湯の花が溜まっています。
単純炭酸鉄泉(Na・Ca-SO4・HCO3)
70℃ pH=8.3 6.4L/min(自然湧出)


 常盤の湯から,長い階段を下りて,羽衣の湯に向かいます。
 谷底に降りていく感じです。
 地形に沿って階段が造られているので,段差がまちまちで歩きにくいです。下まで82段あります。
 木の階段で,あちこち修繕の跡があり,秘湯ムードたっぷりです。
 
羽衣の湯

 木の階段を降りきったところにあるのが羽衣の湯です。階段の左右に男女別の浴室があります。男湯には,木製の浴槽に無色透明のお湯が溢れています。「あつ湯」と「ぬる湯」になっておりそれぞれが5〜6人、2〜3人が入れる広さです。3つの中では,一番特徴のないお湯ですが,柔らかい透明ないいお湯です。
単純温泉(Na-HCO3・SO4・Cl)
50.5℃ pH=? 7L/min(自然湧出)


婦人風呂

 羽衣の湯の女湯です。湯船は小さいですが,新しくてきれいな檜風呂です。女性客はいませんでしたので,写真だけ撮らせていただきました。
 
 この他に,弱硫黄泉の貸し切り風呂「上婦人の湯」があります。今回は,利用しませんでした。
 羽衣の湯から外に出て,さらに谷底に向かいます。
 階段はあまり整備されていなくて,凍っていることもあり滑りやすいです。
 谷底の沢沿いに混浴の露天風呂があります。
露天風呂

 2〜3人が入れる程度の天然の岩をくり貫いて作ったような感じの小さな浴槽です。
 源泉はとても熱いのですが,湯量が少ないせいか雪のためか全体としてぬるめです。お湯はほぼ無色透明ですが,浴槽の底には湯葉のような白くて巨大な湯の花が沈殿しています。かき混ぜるとそれが舞い上がりお湯の色が白濁気味になります。硫黄の香りが何とも言えません。
 不動湯温泉を代表するワイルドな露天風呂です。
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉
58.0℃ pH=7.3 3.6L/min(自然湧出)
夕食

 食事は部屋食です。
 お膳が2つ。
 鯉の唐揚げ,ナメコおろし,雉鍋,酢の物,ワラビのおひたし,マイタケや山菜の天麩羅,煮しめ,鯉のあらい,鯉こく,お新香とご飯です。鯉が臭みもなく意外にうまいです。量は十分すぎて,食べきれません。
 別注文のイワナの骨酒は,2合で2000円でした。
 ビールは大瓶840円です。

朝食

 朝食は,焼き海苔,塩鮭,ウドの油炒め,しそ巻き,温泉玉子,生ハムサラダ,ご飯と味噌汁,それとヤクルトでした。
 女将の話では,この辺は山菜が採れないので,会津から買っているそうだ。下手な外国産の山菜を使いたくないといっていました。イワナも1日頑張っても3尾釣れればいいところだそうだ。
宿帳

 お願いすると宿帳を見せていただけます。
 宿帳には,高村光太郎と智恵子の名前があります。
 昭和8年9月1日〜4日に宿泊したそうです。
 歴史のある名旅館です。
所在地:福島市土湯温泉町字大笹25
電話:024−594−2002
宿泊料金:1泊2食8400円(旧館一人)
予約:じゃらん
1月6日〜3月31日まで冬季休業です。
公式HP

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